「トイレに入ったら、どうぞロックしてください」 |
先日ソウル出張にいくときにちょっとおなかの具合が悪く、トイレに駆け込んだ。普段は気にしなかったのだが、たまたま目の前に写真のようなプレートが貼り付けられていた。開港当時はこんなプレートはなかったように思うが、改めて見ていると非常に興味深い。
中国ではトイレに入ってもドアを開けっ放しにしていたり、そもそもトイレのドアがないトイレが数多くある。都市部や繁華街ではずいぶんと減ったが、オフィスビルでもトイレのドアを閉めないで用を足しているようなケースは結構あったりする。国際空港において、こうしたことはあってはいけないことだと危惧した空港当局が貼り付けたプレートなのだろう。私も何度も、誰も入っていないと思ってドアを押したら中に人がいたというケースが何度もあるし、国の顔である国際空港では、そうした自体を何としても避けたいというのも頷ける話だ。
さて、このプレート、中国語の文章と英語の文章はちょっとちがっている。中国語の文章では「入厕请您锁好门」となっているが、英語の文章では「Please lock the door for your convenience」となっている。中国語の文章は「トイレには行ったら、どうぞロックして下さい」とそのままダイレクトに書いてあるのだが、おそらく中国語だけ書いてあると、漢字が読めない外国人だと非常に排他的な印象を受けてしまうだろう。そのためか、英語で書いてあるのだが、「あなたの便宜のため、ドアをロックしてください」となってしまっている。
「convenience」という単語はいろんな意味があるが「for convenience」というのは便宜上という形で訳すのが一番しっくりくるだろう。この意味でも、非常に苦労して翻訳しているのだろうと思う。大多数の外国ではトイレのドアは閉めてロックするもの、という概念があるので、わざわざプライバシーのため、などと書いてしまっても違和感があるわけだし、そういう意味ではうまいこと訳しているのかなとも思う。
トイレ一つとっても、いろいろと苦労しているの様子を垣間見た、首都国際空港での出来事だった。